復元・調査・研究

株式会社スズサンでは、4代目の村瀬裕を中心に、様々な学術調査・研究・復刻事業等への協力をおこなっています。

東京国立博物館所蔵の、奈良時代(8世紀)の「伎楽装束 裳」の復元複製事業がその一例です。1200年以上前の、伝統演劇の1つである伎楽(ぎがく)で使われていたという装束の復元のプロジェクトが立ち上がり、調査を進めるとこの特別な日のための衣裳に絞りが使われており、株式会社スズサンがこの纐纈の部門で有松鳴海絞りの技法にて復元品を製作しました。
制作統括は 京都の会社で担い、生地・染色・仕立て等のそれぞれの専門家が携わり、スズサンでの絞りに関しては、当社の4代目で職人の村瀬裕が試作を重ねて3ヶ月有余の期間を要し、染色は、黄蘗、藍、茜の草木染めで行われ、8世紀の製作当時の装束を華麗に復元模造しました。

東京国立博物館所蔵の「伎楽装束 裳」

また、2021年には村瀬弘行がスイスはバーゼルにあるMuseum der Kulturen(文化博物館)の依頼でテキスタイル収蔵品の調査をおこなってきました。
1875年に作られたこのミュージアムは、世界中から33万点の文化価値の非常に高い所蔵を持ち、その中で日本の品々も多くあります。ちょうど前回東京オリンピックが開かれていた1964年に当時の館長ビューラー氏(故)が来日し、その際に日本の各地を巡り有松にも寄られていました。その後も、絞りの収蔵品を増やし、有松では今では現存しない技法も含む200点ほどの浴衣や資料、道具が遠く離れたバーゼルに収蔵されています。
調査依頼はそれまで長らくの間眠っていた収蔵品の技法を正しく分類し、収蔵当時の解説と照合し整理することでした。中には当時の職人の制作風景の写真や絞りの制作途中の収蔵品もあり、村瀬自身は「故郷から遠く離れた場所での邂逅に、時代を超えたメッセージを受け取った気持ちになった」と感じたようでした。

これからも、復元プロジェクトや各種調査などを通じ、ひろく社会へ貢献していきたいと考えています。(ご相談やお問い合わせなどはこちらから。)