2021SS Collection “ROOTS & LEAVES”

2021春夏のテーマは、「Roots & Leaves」。 きっかけは昨秋の、建築家Peter Zumtor氏によるBruder Kalus Kapelleを訪れたことでした。地層のように積み上がった土の壁が、“模様”という時間が作り上げた形となり ただ美しかった。この時の感覚と記憶を ずっと心に留めていたようで、やがて自然と時間・模様を表現したいという欲求となり、原点とこれからを見つめ直すべく「Roots & Leaves」というテーマに辿りつきました。

根ざすからこそ、時がくれば葉が繁る。落ち葉は積まれ重なり、やがて土と化す。 豊かな土に根を張るからこそ、葉が青々と繁り、花を咲かせ、実になり種を蒔く。Rootsは伝統や有松、そしてLeavesをデュッセルドルフとして、その先へと広がりが続きます。花ではなく葉なのは、最終の形では なく、そこから更に成長するという機能を持っているため。根という見えずとも頼れる存在があるからこそ、大きく鮮やかな枝葉を広げられる。

不意に「“絞り”は森羅万象を表現するためにも在るのでは」と思うに至り、なにか壮大な輪廻の内にいたのかと気付かされました。振り返れば、物を生み出すプロセスの中で自分の変化や成長、あるときは悩みが 必ず顕わになり立ちはだかり、気付けば12年。「Roots & Leaves」というテーマ自体は2月には定まっていたのですが、今まさに価値観や定説、習慣が見つめ直されるタイミングに偶然にもピタリと重なりました。

この状況の中でも有松とデュッセルドルフのスタッフ、職人、協業していただいた工場の皆様のおかげで、ものづくりと向き合えています。まるで小さな種が芽をだすように、ものを作る工程そのものと今の想いが重なりました。原点を見つめ直し、今の想いを拾い集め、これからを想像し、描きながら作り上げたコレクションです。