原点

2020. 4. 30

最近、原点について考えて、いつだったか、どこだったか、と考えていたところ、21歳の時のことを思い出しました。

20歳でイギリスに来て、数ヶ月が過ぎた頃、オックスフォードという街で語学勉強をしていて、次の美術大学までの夏休みだったので、その間にアルバイトをしてお金を稼ぐか、もしくは今の所持金で旅に出るか、という選択を考えて後者を選び、2ヶ月の欧州を回れるバスパスチケットを買って宿を引き払い、ロンドンのヴィクトリアステーションからまずはベルリン行きのバスに乗りました。

お金はバスパスに使ってしまったので、旅の間はほとんど宿に泊まらず、公園や駅のベンチ、道で寝ていました。出かける時には「旅に出る」という意識だったので気づかなかったけれど、出た後に「あ、これホームレスだ」と気づきました。

最初の夜はベルリンで、7月だったのにすごく寒く、公園で焚き火をしようと思って木を集めたけれど湿って火がつかずとにかく夜は寝ないでアーミーコートにくるまって歩いて寒さを凌ぐ1日目の夜。

犬と同じ目線で街を見て、人の往来を膝の高さが新鮮だったのを覚えています。

この後も色々と続くのでまたどこかの機会で書きますが、あの時完全に学生でもなく、会社員でもなく、肩書きや社会的な地位とか、全くなくなって僕個人になったと思います。ちょっと英語の話せるアジア人。それだけ。

美術を目指した時、絞りの美しさを感じた時、会社を始めた時、人との出会いなどターニングポイントというところはあったのですが、あの体験は今のビジネスや生活に直結しているかというと、そうではないところの方が多いですが、何かの原点だったなと思います。