suzusan | 2024春夏 展示会のご案内

9/12追記:
この度は、suzusan2024春夏展示会へご来場をいただき、また、商品や締切に関するお問い合わせも、誠にありがとうございました。
2024SSオーダーお申し込みは、9月18日(月)23:59です。商品詳細やオーダーはこちらからご確認いただけます。
商品等に関するご質問やご不明点がございましたら、お気軽にお問合せください。

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2024 Spring/Summer Collection
“ENCOUNTER”

2024年春夏suzusan新作展示会を有松(名古屋)と東京にて開催いたします。
両会場ともご予約制となります。ご希望日時をご予約の上、ご来場くださいませ。
なお有松会場では、築150年の古民家をリノベーションした体験施設<Studio Suzusan>にて、
過去のアーカイブからお好きな型、色、柄をお選びいただけるカシミヤニットオーダー会、そしてsuzusanの生産背景をご覧いただける工房ツアーにご案内いたします。さらに8月27日(日)は一宮市真清田神社境内にある<パーラーユーモア>によるかき氷の出張販売を予定しております。
江戸時代から続く有松の歴史や文化に触れながら、suzusanの誠実なものづくりをご覧いただける貴重な機会となりますので、ぜひ足をお運びくださいませ。
皆様のお越しを心よりお待ちしております。

※今回の展示会におきましてディレクター村瀬弘行の在店予定はございません。ご了承ください。

【有松会場】
8月25日(金)-8月30日(水) 10:00-17:00
<suzusan factory shop>
愛知県名古屋市緑区有松3026
<Studio Suzusan>
愛知県名古屋市緑区有松3305
名鉄本線「有松駅」より徒歩7分

【東京会場】
9月6日(水)-9月10日(日) 10:00-18:00
<裏参道ガーデン> 2F
東京都渋谷区神宮前4-15-2
東京メトロ「表参道駅」より徒歩7分


【展示会特設サイト】

https://suzusan.square.site
ご予約はこちらからお願いいたします。

【お問い合わせ】株式会社スズサン 

Mail:jp@suzusan.com 

展示会直通ダイヤル:052-825-5636 

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2024 Spring/Summer Collection
“ENCOUNTER”(邂逅)


この8年ぐらいは夏になるとスイスのバーゼルに訪れ、この街にあるMuseum der Kulturen(文化博物館)で収蔵品の調査をしている。1875年に作られたこの博物館には、世界中から集められた文化的に高い価値を持つ33万点もの品々が、広大なデポと呼ばれる収蔵庫に一つひとつナンバリングされて大切に保存されている。モンゴルの敷物、チベットの仏具、さまざまなアフリカの地域の盾や槍やマスク、中国少数民族ミャオ族のきらびやかな装飾具やオセアニア地域の巨大な祈りの彫像。さまざまな文化と地域、そしてそこに暮らす人々の背景が、引き出しを開ける度に躍り出し、それを作った人々の息づかいまで聞こえてくる。

ここにある衣服や装飾具は全て人の手で大切に作られており、現代の「ファッション」という言葉で呼ばれるようになるずっと前のものが並んでいる。寒さをしのぎ、祈りを捧げ、敵を威嚇し、祝祭を盛り上げるもの。当時の限られた素材から膨大な時間を費やし作られたであろうものも多く、相当な集中力のもとに作られたと想像すると実直なものづくりへの姿勢が目に浮かんでくる。このルーツに触れるたびに先人たちの無言のメッセージを受け、真摯にものづくりに向き合う気持ちをいつも新たにする。

日本の衣服のコレクションも沖縄からアイヌまで非常に素晴らしいものが多く並ぶ中、その建物の一角には250点ほどの有松鳴海絞りのコレクションもひっそりと眠っている。聞くとこの博物館の以前の館長であったAlbert Bühler (1900-1981)が1964年に日本を訪れた際に、全国各地を歩いた中で僕の故郷でもある有松にも立ち寄られ、さまざまな工房に出向き多くの資料をスイスに持ち帰られたという。その中には今では日本でも見られないような柄や技法も多く、初めて見た時には遠く離れた異国の土地で自分のルーツとの邂逅に心が震えた。その当時の意匠の高さに感嘆するとともに、今では高齢になった職人のおばあちゃんたちが、子供の頃に作ったものもあるのだろうと思いを馳せながら、一枚一枚の布に触れていた。

この半世紀の間にも世界から無くなってしまった文化は数えきれない。おそらくその中のほとんどは二度と蘇ることはないだろう。僕たちは過去に触れ、未来を描き、時代の橋を渡すことで、有松という小さな町の文化を次の世界に伝えることができる。

これからこのデポには何が収められていくのだろう。大切に作り、大切に使うこと。故郷より遠く離れたバーゼルの品々は、とてもシンプルなメッセージを今の時代に暮らす僕たちに静かに送り続けている。

suzusan クリエイティブ・ディレクター
村瀬 弘行